今回は出物系統の親木です。
これまでに変化朝顔には正木系統と出物系統あると紹介しました。「正木」とは種が採れるタイプのことで、次に植えたものも同じ変化が起こりますが、あまり激しい変化は起こりません。「出物」とは遺伝子の組み合わせによって、1/4、1/16…等の確率でおしべやめしべまで激しく変化し、種が採れない株が出現するタイプのことです。
出物は種が採れないため、同じ親株の種から育った、変化していない兄弟株を種採り用に育てます。これが、出物系統の親木と言われるものです。従って、花は普通の朝顔と同じようなものも多数存在します。
出物系統・親木1
葉:黄/抱/丸葉 花:紅/吹雪/丸咲

出物系統・親木2
葉:青/斑入/抱/常葉 花:淡藤鼠色/丸咲

出物系統・親木3
葉:黄/抱/常葉 花:瑠璃/丸咲

出物系統・親木4
葉:青/渦葉 花:江戸紫/丸咲き

出物系統・親木5
葉:青/蜻蛉葉 花:紅紫/丸咲

出物系統・親木6
葉:青/斑入/渦葉 花:葡萄鼠/丸咲

このあたりから、変化朝顔らしさがでてきました
出物系統・親木7
葉:黄/弱渦/抱/蜻蛉葉 花:白・丸咲

出物系統・親木8
葉:萌黄/縮緬葉 花:白/筒紅/台咲

出物系統・親木9
葉:黄/縮緬葉 花:瑠璃/台咲

出物系統・親木10
葉:青/縮緬/立田葉 花:白/筒紅/台咲

出物系統・親木11
葉:黄/抱/蜻蛉葉 花:葡萄鼠/覆輪/丸咲

出物系統・親木12
葉:青/斑入/笹葉 花:茶/覆輪/車絞/切咲

出物系統・親木13
葉:青/打込/桔梗渦葉/短毛 花:淡藤/切咲

出物系統・親木14
葉:青/蜻蛉/丸笹葉 花:紅/覆輪/切咲

変化朝顔の名称について
変化朝顔には特異な名称が付けられています。第一次ブーム(文化・文政期)の番付表にはその走りが見られますが、第二次ブーム(嘉永・安政期)に基本が出来上がります。それは、葉の色、模様、質+花の色、模様、花弁の形、咲き方、花弁の重ねを順番に記述し、必要に応じて付加していくというものです。
上の、出物系統・親木14の場合、次の行に「葉:青/蜻蛉/丸笹葉 花:紅/覆輪/切咲」と、分りやすいように標記しましたが、実際には「青蜻蛉丸笹葉紅覆輪切咲」と記述されます。青字の部分が葉についての記述、赤字の部分が花についての記述というわけです。
(くらしの植物苑のパンフレットからの引用を含む)
次回は、牡丹咲き以外の出物系統を紹介します。
(つづく)
この記事へのコメント
イッシー
後半は花の形に変化が出てきましたね。
最後のなんか写真見せられても、朝顔とは思わないです。
nobara
ここから変化させていくんですね(*^-゚)⌒☆
親木13はちょっと見
フヨウかと思いました(^o^)丿
親木14は花片が袋状に変化?
狐の手袋?なんだか変身が上手ですね。
river
これらの親木の交配から獅子咲牡丹、車咲牡丹、采咲牡丹などの出物が出現するわけですね。
変化朝顔には他の花のように品種名がありません。一代限りのものもあるからです。
メンデルの法則も知らない江戸時代の人々が親木の交配により出物を作り出すことを知っていたことは驚きです。
eko
名前は花の状態をそのまま表記しているのは分かりやすいですね。最後の方はアサガオとは思えないような花姿ですね。
なおさん
最後のなどは、これもアサガオ??というような面白い咲き方ですね。
月奏曲
14番なんかいわれなきゃアサガオと理解できるかどうかw
5番6番あたりは浴衣の柄によさそう
長さん
後半はだいぶ変化朝顔らしくなってきましたね。
最期のは切れ咲きで、切れた花弁がそれぞれ外側にカールしています。
長さん
正木は種が確実に採れる代わりに変化は少ないですが、出物の親木からは確実に様々な変化が現れます。
親木13の淡い藤色も色の変化でしょう。親木14は花弁が裂けていて、それぞれの花弁が外側にカールしています。
長さん
正木系統より変化が起こりやすい出物の親木ですから、より大きな変化が期待出来ますよね。
親から変化してしまうので、銘は付けられないから、囲みに書いたような名前を付けることになったのでしょう。
メンデルの法則は知らなかったですが、長い経験から何らかの法則を見いだしていたかも知れませんね。
長さん
種が採れた親木ですが、その子孫はメンデルの法則に支配されますから、確率は別として同じ花が咲くものがでるはずです。ということは、種が出来るかどうかの保証はない代わりに、変化した花が出来る可能性もあるわけですね。
親と同じ花が咲く可能性が保証できないので、銘を付けるわけにも行かず、やむなく囲みのような名前の付け方でその個体の特徴を表わしたのですね。
長さん
変化朝顔の場合は、親と同じ花が咲く確率が100%ではないし、種が採れないこともあるので、投機の対象とはなりにくいのではないでしょうか。
最期の朝顔は切れた花弁のそれぞれが外側にカールしているが面白いですね。
長さん
変化朝顔の魅力は変化の要素がいくつ重なるかということでしょうから、今回は変化の度合いが少ないものから順に並べてみました。
女性としては、浴衣の柄は赤が入った方が良いですか。
うふふ
となると、次に咲く花は「出たとこ勝負」の感じがしますね。
どんな花が咲くか分からないのもミステリアスで楽しそう。
なんて、外野席で勝手なことを言ってはいけませんね。
長さん
出物系統の親木ですから、メンデルの法則で、親と同じものが出来ると同時に、他の遺伝子の方が強くでた子供も出来ますね。更に3代目になると、変化の出る確率が上がると言うこともあり得ます。ですから何世代も育てていくと、より変化のあるものが出来ので、期待が高まりますね。
すーちん
種の採れないアサガオ
育てたことありますが
繫殖力旺盛で苦労したこと
あります^^
寿々木
長さん
種が採れない朝顔ならその年限りですよね。種を蒔いた年に大繁殖したのでしょうか。
我家のセイヨウアサガオ(マルバアサガオ)も茎が2m以上に伸びています。ネットに這わせていますが、行灯仕立てにしたら大変なことになったと思います。
長さん
朝顔は変異する要素を多く含んだ植物です。それが出現したものが変化朝顔です。種が出来ないのも変異の一種です。
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ロシアンブルー
どんな花が咲くか、葉や茎にもどんな形、色が出るか楽しみ
でもありますね。
ブームになるのも解りますね。
長さん
今回紹介したアサガオは出物系統の親木です。ですから、子供はこれと同じ花が咲くものが必ずできますが、しかし、兄弟の中には親と異なる変化が現れることがあります。その変化がでるかどうかが楽しみなのですね。
秋月夕香
長さん
変化朝顔のマニアにとっては、親木は変化の源ですから、貴重品でもあるわけです。